立ち飲みの店に開眼する楽しさに充ちたガイドブック
BS-iの15分番組「吉田類の酒場放浪記」でファンになった方も多いだろう(私もその一人)、吉田類さんの著書。 この本、まず装釘に凝っている。頁は角を丸く削っており、見返しと中表紙の間に一枚、包装で使うようなザラ紙が入っていて、判で捺したようなたくさんの「酒」というロゴが模様になっている。他にもちょっとしたところに味のある意匠が使われている。吉田さんのリクエストなのか。ちょっとワクワクさせる。 写真も著者自身が撮っている。 「カメラは3合までなら手ブレすることなく、シャッターを切れる。酒場の温もりや、酒匂の風を撮りたいと心掛けてはいるが、マニュアルでじっくり構えるというチャンスがもっとほしかった」(本書p.139) プロの取材カメラマンなら、とりあえず綺麗な絵を心掛けるだろう。「えっ、あの店こんなに洒落てたっけ。いやあ写真のマジックだねー」・・・というような。 だが吉田さんは違う。多少粗が見えても味のある写真なのだ。そこに「立ち飲み」の本の企画意図が見えかくれする。 「酒場は、マニアックなセンスとのっびきならない裏事情に満ちているほどおもしろい」(同p.10)のだ。 ここには僕が東京在住時代にお世話になった店も登場している。 四谷の鈴傳は会社の近くということもあり気軽に通ってたが、大老舗だったということをこの本で初めて知った。でも当時は「立ち飲み」というスタイルをあまり意識したことはなかったが。本書を読んではじめて、立ち飲みの素晴らしさに開眼した。 終わりの「立ち飲みを愛する人々へ」という章が、またいい。 吉田類ファンならずとも、気軽に楽しく読めて立ち飲みの素晴らしさ、面白さがわかってくる。 読後、飲みに行きたくなる。近所にあるだろうか。本には出ていない立ち飲みスタイルの店を探しに街を歩いてみる。 そんな読み方もできる。
絶対行きたくなる
「立ち飲み」というと特に女性はなかなか敬遠されがち。だが、この本を読むと不思議な温かい空間に導かれる。また、店主のこだわりや頑固さが心地よく伝わってくる。 写真も載っていて店内の雰囲気もわかりやすく、巻末のほうに載っているイラスト付きの解説もとてもユニークで笑いを誘う。 この本を読んだら、女の私でも堂々と立ち飲みやの暖簾をくぐれそうな気になってくる。
交通新聞社
東京ちょい飲み巡り 酒場歳時記 (生活人新書) 酒場のオキテ―「酒通」の「粋」がわかる本 (青春文庫 よ- 12) 立ち飲み屋 (ちくま文庫) 立ち飲み天国 東京篇
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